奈良で弁護士をされている、菅原直美さんが、この度、「治療的司法・修復的司法」を紹介するホームページを立ち上げられました。
弁護士の世界でも少しずつ、犯罪を犯した人の立ち直りを重視した「更生に資する弁護」や、依頼人の抱える様々な問題を解決することで社会復帰を目指す「治療的司法」の考え方に共鳴する方が増えて来ています。
その中で、こうした手法、考え方を紹介するサイトはこれまでありませんでしたので、貴重だと思いましたので、サイト開設者である菅原弁護士に、ネットを使ってインタビューを試みました。
当ブログ初のインタビュー記事です。
セラピューティック・ジャスティス
http://nara-therapeutic-justice.jimdo.com/
(インタビュー始まり)
管理人 「どうして菅原さんは法曹、弁護士を志したんですか?」
菅原弁護士「もともとはドキュメンタリーを撮る映画監督になりたかったんです。 人生や人間というものに興味があって、人の話を聞くことが好きだったので。」
「でも、尊敬している記者さんから「菅原さんは、目の前の人を撮影するだけじゃなくて、目の前の人に手をさしのべて実際に助ける方が向いている」と言われ、弁護士を薦められました。それがきっかけです。」
I 「記録よりも援助、支援、ですね。でもカウンセラーとか占い師(笑)とか、他にもいろいろあると思うけど、弁護士は自分にあってましたか?」
S 「5年間弁護士として働いてみて、わたしのような「弁護士」を求めている人もいるのだと実感するようになりました。 あっているかどうかは分かりませんが、なってよかったと思っています。」
I 「いま目指している弁護士像はどんなイメージですか?」
S 「一つの事件、ひとりの依頼者を、 本当に大切に扱う弁護士、でしょうか。 わたしにとっては一つの仕事であっても、依頼者の方にとってはその方の人生そのものをお預け頂いてると思いますので。 大事な人生の一部分をお預け頂いていることに、真摯に向き合う時間と、余裕と、知識と、情熱のある弁護士になりたいですね。」
I 「今回、治療的司法、修復的司法を前面に押し出されたサービスを掲げられていますが、そのきっかけから教えてください。」
S 「サービス、というとちょっと誤解される方もいらっしゃるかな。 わたしとしては、ご依頼頂いた案件の処理をする際の「視点」とか「意識」のイメージです。 治療的・回復的な視点や意識を持つようになったのは、刑事弁護のなかで「更生に資する弁護」という活動を実践されていた、故髙野嘉雄先生のお話をうかがったのがきっかけで
すね。」
I 「故・高野先生にどんな影響を先生は受けたのでしょう?」
S 「髙野先生は、刑事手続きを、被疑者・被告人にとって「生き直しの場」だとおっしゃっていました。 わたしはその言葉に感銘を受けました。わたしたちが扱うのは「人生そのもの」だと教えられたんです。 その影響を受けて、わたしは刑事事件に限らず、弁護士がご依頼頂く色んな案件でも、もしかしたら、「生き直し」というか、人生を前向きに、ポジテイブに捉え直す処理を求められる場面があるんじゃないかな、と思ったんです。」
「それが、ある案件にとっては、ご本人の依存症の治療やトラウマの克服だったり、別の案件では、パートナーとのDV関係からの回復だったり、 いろんな案件の処理を通じて、弁護士として関わる案件においても治療的・回復的な要素が必要なんだと実感しています。」
I 「日頃、そうした活動を実践されるために、どんな工夫をしたりスキルアップに取り組まれたりされていますか? 企業秘密(?)に触れない範囲で教えて下さい。」
S 「心理学やカウンセリングの知識がないまま実践するのは危険だと感じましたので、カウンセラーの資格を取得しました。 また、学者の方々や医師のみなさまなど関連する専門家と意見交換をさせて頂く機会を積極的に持ち、わたしの弁護実践について意見やアドバイスを頂いています。 ただ、1番は、わたしの目の前にいらっしゃる方の満足や笑顔を尺度にしているかな。 その方の人生について、一緒に悩み、考えることで、多くを学んでいます。」
I 「顧客重視の目線が素晴らしいですね。日々の研鑽も怠りないようでとても感心します。では、落ち込んだり凹んだときにはどうされていますか?」
S 「哀しいときは、泣いてますよ。笑 へこんだり、泣いたり、怒ったり、悲しんだり、 そういう日々が、仕事上でもプラ-ベートでも、多いです。 それが人生の醍醐味でもありますし、目の前の方と同じ気持ちにはなれなくても、理解しよう、理解したいと思う原動力になっているかも知れませんね。と、前向きに解釈して、なんとかやっています(笑)」
I 「ご相談に来られるお客様も前向きに人生を歩めるお手伝いが出来るといいですね。 今後の健闘をお祈りしています!」
(終了)