合衆国最高裁が、連邦裁判所で未公刊判例を引用してもよい
という訴訟規則の改正に踏み切った。来年から施行される。
Supreme Court Votes to Allow Citation to Unpublished
Opinions in Federal Courts
http://www.law.com/jsp/article.jsp?id=1144845716431米国ではこれまで、未公刊判例の引用について、たいへんな議論が続いて
きていたのである(詳細は、拙稿「判例公刊について(上・下)」 法律時報73巻
10号67-73頁・11号91-97頁で紹介した。特に上。)
既に80%以上の中間上訴裁判所(サーキット・コート)の判決が未公刊と
なった今日、いくつかの中間上訴裁判所では未公刊判例の引用を禁じて
いたりした。
最近、次のような記述に出会った。 瀬木比呂志「民事訴訟実務と制度の焦点
14 法的調査と立論、法的判断」 判例タイムズ1186号49頁(2005.10.15)
「書証等として提出する判例は、判例雑誌等のコメント付きのものを選び、
コメントと本文の双方の重要部分にマーカーを付しておくべきである」
「コメントも付いていない同種の判例を、しかも非常に多数、マーカーも
付さないままに提出するようなことは、もしも裁判官にそれらの内容に
きちんと目を通してもらいたいと考えるのであれば、避けるべきである」
公刊されていない判例の利用を制限するとまで述べたものではない
が、コメントのない、すなわち判例雑誌に掲載されていない判例につい
て、(マーカーも付さないまま、という留保が付いているのだが)先例性
を低く位置づける記述のようにも受け取れる。筆者の趣旨は、裁判官に
読んでもらうにはどうしたらよいか、という観点にあるようなので、直ちに
未公刊判例の問題に結びつけるわけにはいかないが、そもそも判例
雑誌は私的判例集であって、セレクションについて公的にオーソライズ
されておらず、セレクションの基準も明らかにされていない(この点は
公的判例集であっても同じだが)。
たしかに実務にとって有用な裁判例が判例雑誌に収録されていることは
事実であろうが、収録されていない判例の利用の取り扱いを区別する
のは問題があると思う(詳細は上記拙論参照いただきたい)。
さて、今回承認された最高裁の改正ルールは
こちらにある。
未公刊判例の問題については、(英文だが)このサイトが詳しい。
http://www.nonpublication.com/しかし、それにしてもアメリカ人って「引用」についてやたらマニアックだ。