様々な民間セクターが集合し、オバマ政権と議会に対して、今や崩壊状態にある米国の刑事司法を抜本的に立て直さなければならないとの呼びかけが始まった。
http://www.besmartoncrime.org/
イノセンス・プロジェクトが暴いた250人以上のDNA型鑑定によるえん罪事件は、氷山の一角というのがその根拠である。科学的鑑定でえん罪を明らかにできないケースは多い。
改革の論点は、多数ある。
捜査から矯正に至るまで幅広い。 貧困者弁護、少年の取り扱い、量刑ガイドライン、死刑問題、過剰な刑罰、刑務所改革、恩赦制度、法科学(鑑識)組織、修復的司法、など改革課題は山盛りである。
YouTubeを利用したビデオによる冷静かつ的確なプレゼンテーションが各論点について次々と紹介される。
コメンテイターの横に米国旗がさりげなく置かれているところも運動の広がりを意識した演出かもしれないが、アジテーションとして受け取られないよう配慮していることが伺える。
レポートの本体はこちら。
http://www.besmartoncrime.org/pdf/Complete.pdf
要約版はこちら。
http://www.besmartoncrime.org/pdf/Executive_Summary.pdf
16の領域にわたって100以上の勧告をおこなう。 局所的な改革ではない包括的な改革だ。
このNPOは、40以上の団体と個人がかかわっている。アメリカ法曹協会やACLUなど有力、著名な団体も名前を連ねているが イノセンス・プロジェクトがその中心にあることは言うまでもない。
評価はいろいろあるだろうが、とにかく、米国の民間セクターの政策形成能力と資金調達力には感嘆せざるをえない。 カナダや旧英国連邦の国々ではRoyal Commission方式で勧告がおこなわれてきたが、米国ではこの役割を民間が担おうとしている。