先ほど、福岡高裁宮崎支部が、大崎事件再審請求の即時抗告審において、検察側に対して証拠標目(リスト)を開示するよう勧告した、との報に接しました。
管理人は現在、アムステルダムにいるため対応ができません。そこで、関係者に対して取材対応ができないことから下記のとおり、弁護団に送った記者会見用の原稿を公開し、それに代えたいと思います。
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大崎事件にかかる福岡高裁宮崎支部による証拠標目の開示勧告についてのコメント
2013(平成25)年7月18日
成城大学教授 指宿信
(在アムステルダム)
本日、表記のとおり、大崎事件再審請求人によって求められていた検察側手持ち証拠について証拠リストの開示勧告がなされたとの報に接し、まずはこの度の裁判体による姿勢を高く評価したい。鹿児島地裁が3月6日に再審請求を棄却した際に、証拠開示について何らのアクションをおこなわなかった態度の不当性が明らかになったと言えよう。同事件について証拠開示にかかわる意見作成をおこなった者として、また、先般の棄却決定に際して学者声明の作成に関与した者として、今次の勧告を心から喜びたい。
けれども今回の英断そのものは決して異例というものではない。既に多くの再審請求審において請求人側の求める証拠開示の勧告がなされてきた。当職が直接関与したものとして狭山事件や冨山事件があるし、それ以外として、布川事件、東電OL殺害事件、福井女子中学生事件、袴田事件、東住吉放火事件と枚挙に暇がない。そして重要なことは、多くの事件において原判決時に隠されていたいわゆる「検察官未提出証拠」が確定判決の事実認定を大きく揺るがし、その結果再審開始決定へと至る決定的契機となっている事実である。
周知のとおり、最近では東電OL事件ならびに布川事件(再審無罪確定)、福井女子中学生事件(開始決定。検察側の即時抗告後、取り消し決定。現在特別抗告中)といった事件は、開示された証拠群が請求人の主張を裏付ける役割を果たした。歴史的にも、死刑再審無罪事件であった松山事件等において未提出証拠の開示が請求人の命を救ったケースをこの国は経験してきている。
こうした事件の存在は、証拠というのは決して有罪を求めるために検察側だけが独占するものであってはならず、真実発見のために用いられる「公共の財産」であることを明らかにしていると言えよう。
もっとも、今回の開示勧告は証拠本体の開示を求めたものではなく、あくまで手持ち証拠リストの開示を求めている。今後、開示されたリストに基づいて弁護団より個別の開示がおこなわれることになるだろうが、検察官においてはこれらについて争うことなく積極的に開示に応ずるべきだ。なぜなら、検察庁法に規定されているとおり検察官は「公益の代表者」なのであって真実発見に寄与することが求められているからだ。いたずらに再審請求審において当事者的立場を貫くべきではない。請求人の年齢を考えても、個別の証拠開示の申し立てについて速やかな開示をおこなうべきであろう。
先に鹿児島地裁が再審請求の棄却決定をおこなった際に、多くの刑事法研究者が抗議声明に連なった。その際に、我々は同地裁の決定について「真実の発見と正義の追究を目指すべき司法の役割を放棄したものと言わざるをえない」とコメントしている。今回おこなわれた証拠標目開示の勧告によって、司法が、無実を求めるひとびとの声に謙虚に耳を傾け、真実を明らかにする崇高な使命を担っていることを国民に示したことの意義は決して小さいものではないだろう。
【参考文献】
拙稿「証拠は誰のもの 真実を発見する公共財産」朝日新聞平成22年11月20日
拙稿「再審請求事件における手続的正義を問う」世界2013年5月号
拙著『証拠開示と公正な裁判』(現代人文社、2012年)、特に第6章「検察側手持ち証拠一覧とその提示」
(以上)
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