ネットにはないのだが、今朝の朝日新聞に、「取調べ可視化」是非論
という比較的大きな記事が掲載されているので紹介したい。
元検察官の宗像紀夫氏が「録画されていたらこうは話さないだろう」
と語るのに対して、
弁護士の後藤貞人氏が「カメラの前に真実を話さないというのは検証
不能な論理」と突くが、もっとも。
だいたい、捜査機関もこれまで自白を録音(部分だが)してきているし
公判廷に証拠として提示すらしている。自己矛盾ではないか。
コスト論は論外。 海外での導入に対して遅れ、というのはこの分野
では毎度。 欧米どころかアジア各国より遅れ。
気になったのは、録音録画が進めば、違った意味で「自白偏重になる
のではないか」との指摘。
たしかにそれは否定できない。 代用監獄での長期間(23日)の身柄
拘束、別件逮捕勾留の期間を利用した更に長期の取り調べが変わら
ないのであれば、不任意自白の温床そのものも変わることがないか
らである。 そうした虚偽自白の「環境要因」に修正を加えないままの
可視化論議にはやはり限界があることを踏まえておくべきであろう。