本日、最高裁第一小法廷は、名古屋高裁の破棄判決を破棄し、自判
にて一審の名古屋地裁岡崎支部が言い渡していた手続打ち切り判断を
復活させる判断を示した。
殺人,銃砲刀剣類所持等取締法違反被告事件
平成28年12月19日最高裁第一小法廷判決
http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/355/086355_hanrei.pdf
見るべき点は、第一に338条4号を「準用」して、端的に裁判所が手続を打
ち切ることができると明示したことだ。
第一小法廷は、以下のようにいう。
>被告人に訴訟能力がないために公判手続が停止された後,訴訟能力
>の回復の見込みがなく公判手続の再開の可能性がないと判断される
>場合,裁判所は,刑訴法338条4号に準じて,判決で公訴を棄却
>することができると解するのが相当である。
「準用」としたのは、公判停止中であった本件には、同号がいう
「公訴提起の手続」問題ではないため、直接適用を避けたと
解するのが妥当だろう。
手続打切りを同号の「準用」でできるとした本判決の射程は
かなり長いと見るべきだ。直接適用ならなおさら打切りは容易と
解せられ、今後は同号を用いた打切り事案が増加することに
なるだろうし、弁護人は公訴権濫用ではなく手続打切りを
求めることになるだろうからだ。
第二に、裁判所は特定の法条なしに手続きを打ち切る権限を
有する根拠として、刑訴法1条を用いたことが注目される。
>事案の真相を解明して刑罰法令を適正迅速に適用実現するという
>刑訴法の目的(同法1条)に照らし,形式的に訴訟が係属しているに
>すぎない状態のまま公判手続の停止を続けることは同法の予定する
>ところではなく,裁判所は,検察官が公訴を取り消すかどうかに関わり
>なく,訴訟手続を打ち切る裁判をすることができるものと解される
一審判決のように「重要な訴訟条件を欠き、後発的に・・手続規定に
違反しているので無効となったものとして公訴棄却」といった訴訟
条件説を借りた表現を用いず、あくまで刑事訴訟の目的に照らして、
公判を維持することが刑罰法令の迅速適用を求める1条に照らした
時には適当と思われない場合に手続を打ち切ることができる、という
のである。
また、最高裁が、端的に「裁判所は,検察官が公訴を取り消すか
どうかに関わりなく,訴訟手続を打ち切る裁判をすることができる
ものと解される」として、裁判所に条文上の直接の根拠がなく
ても、場合によっては338条4号を「準用」すれば手続の打ち切り
が可能だと承認したのだから、学説がいかなる説明を加えるかは
別にして、裁判実務上、裁判所がさまざまな原因・事由に基づいて、
裁判を打切ることができる道を開いたと言えるだろう。 いよいよ
「打切り論」の扉が開かれたのである。
もっとも、訴訟能力に関わっては、今回のケースは公判手続が長期間
停止されていた事案であったので、訴訟無能力が認められるケースで、
公判手続停止を経ずに全く回復見込みがないとして直截な裁判所
による手続打切り判断が可能かどうかについてまで判断したもので
はない。そうした類型については今後の事案の集積を待つほかないが、
少なくとも裁判所の打ち切り権限について、憲法違反や訴訟条件の
欠缺といった媒介項なしに承認されたいま、打切りの可能性を封じたもの
とは考えられないだろう。
<参照>
拙著『刑事手続打切りの研究 ポスト公訴権濫用論の展望』
日本評論社、1995
https://www.nippyo.co.jp/shop/book/378.html
拙著『刑事手続打切論の展開 ポスト公訴権濫用論のゆくえ』
日本評論社、2010
https://www.nippyo.co.jp/shop/book/5254.html
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