発売された世界6月号に「監視の時代とプライバシー――GPS捜査大法廷判決を踏まえて考える」と題した寄稿をしました。
「私的領域」という新たな概念を取り入れた大法廷判決を手掛かりに、益々発展する情報技術が容易に利用できる今の時代に、プライバシーと監視技術の関係をどう考えていくべきか、展望しています。大法廷がGPS捜査には必要だとする「立法」の方向性について踏み込んで書きました。
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令状なしのGPS捜査「違法」 最高裁が初判断
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDG15H3Y_V10C17A3000000/
本日、午後3時から最高裁大法廷で先日法廷弁論が行われたGPS利用捜査事件の上告審判決の言い渡しがあったので傍聴した。
のっけから「上告棄却」だったので、一瞬がっかりしたが、そのあとに続く憲法35条のプライバシー保護の範囲の定立、GPS利用捜査がそうした範疇に入るという当てはめ、そして、特別の立法が必要との立論には圧倒された。予想される中で最上級の判断であった。
すでに最高裁ホームページに判決はアップされていて誰でもアクセスできる。
http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/600/086600_hanrei.pdf
判決の中で注目されるのは何と言っても、憲法35条の「保障対象には,『住居,書類及び所持品』に限らずこれらに準ずる私的領域に「侵入」されることのない権利が含まれるものと解する」というプライバシーの範囲を「住居」から踏み出して、「準ずる」カテゴリーを設定したことである。
つまり、公私二元的なプライバシー区分から最高裁は離脱したのだ。それはつまり、公道上であってもプライバシーの保護が及ぶ、ということに繋がっていく。
判決は、「GPS捜査は,個人の意思を制圧して憲法の保障する重要な法的利益を侵害するもの」と明確に位置づけ、強制処分の性質を持つことを明らかにした。しかし、今後、GPS利用捜査に限らず、「私的領域」に侵入するあらゆるテクノロジーを使った捜査手法は、同様に規制対象に含まれると考えてよいだろう。そういう意味で、この判決は発展性を持ったものだ (ちなみに最高裁は、これまで「私的領域」という用語を刑事の判決で用いたことはないし、民事でも公文書開示の事案で2件ほど見られるだけだ。従来考えられてきたプライバシー概念は変更せず混乱を回避するために、公私の中間領域として「私的領域」という用語を用いたと見ることもできる)。
となれば、GPS捜査を規律するには、令状が必要だとして、検証許可状の可能性を検討し、類似性は認めつつ「「検証」では捉えきれない性質を有する」と結論づけ、令状発付には「(捜査の公正の担保という)問題を解消するための手段として,一般的には,実施可能期間の限定,第三者の立会い,事後の通知等様々なものが考えられる」と立法にあたっての具体的な検討事項まで列挙している点が目を引く。
これまで、最高裁判所が特定の捜査手法に対して立法の必要を示したことは例がない。今回の判決が反対意見すら付かなかったことは、最高裁の裁判官たちが、位置情報の承諾のない収集といった、テクノロジーを使った新たな情報収集型捜査について危機感を持ったことの現れであろう。
今後、立法府が速やかに対応する必要があるが、その際には、監視装置全般に規制が及ぶような「追尾監視装置規制法」といった特定技術だけでなく包括的に規律できるような法律を望みたい。
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最高裁大法廷弁論の傍聴に行って来ました。
GPS捜査はプライバシー侵害か? 最高裁大法廷で弁論
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDG22H4T_S7A220C1000000/?n_cid=SPTMG002
今日の弁護側の弁論は、市民の行動が常時監視される社会の
恐怖から説き起し、法律による規制の必要を訴え、今回の事件
で裁判所が権力の濫用を食い止める手立てを必要だと判断す
るよう強く求めていました。とても説得力のある、素晴らしい、
堂々たる弁論であったと思います。感銘を受けました。
そして、一審から弁護団の主張内容は一貫しています。ブレが
ありません。
それに対して、今日の検察側の弁論は、これまでのこの事件の
経緯を知る者には驚きの内容を持っていました。つまり、弁論の
4分の3の時間を「検証許可状によって実施できるので、弁護側
の主張する立法に拠らなければならないという主張は誤り」だと
いう議論に費やしたのでした。
何が驚きなのか、以下に説明しましょう。
今回の事件の一審(大阪地裁)は、GPS利用捜査は強制処分に当たる
と判断して、収集された情報に基づく証拠を排除するなど、我が国
でも初めてとなる判断を示し、警察がこうした捜査を実施する
場合には「検証許可状」という現行法に存在する令状方式を用いる
べきだと指摘したのです。
これに対して検察側は控訴して争い、GPS発信装置の取り付けと
位置情報の取得は任意処分でできるもので、令状は不要である、
だから検証許可状を必要とした一審の判断は誤りだ(!)と主張
していました。二審の大阪高裁は、検察側の主張を受け入れ、
令状は必ずしも必要ではない、捜査に違法はなかったと判断し、
一審の判断を覆しました。そこで弁護側が上告したわけです。
すなわち、検察側は控訴審で取っていた立場と真っ向から
食い違う意見を最高裁大法廷の場で述べました。
なぜなら、今日、検察官は何度も「検証許可状で実施できるのだから
立法は必要ない。現行法で対応できる」と繰り返していました。
しかし、控訴審では「検証許可状など必要ない。任意捜査で
実施できる」と主張していたんですね。そして、全国の他の事件で
も同様に令状不要、任意処分でできると一様に唱えています。
おかしいですね。
検察は各地の法廷で自分たちが言っていることと、全く正反対
の主張を、同じ事件で自分たちが控訴審で述べたことと反対の
主張を、最高裁判事の前で堂々と開陳したのです。
これは、誠実な訴訟態度は到底言えないでしょう。結果的に、
この検察側の「検証許可状支持」の弁論は、控訴審で自分たち
が厳しく批判していた一審判決を擁護するものであったのです。
どうして検察はそのような態度を取ったのでしょう。
それは、何としても最高裁が立法が必要だという弁護側の
主張を支持することを防ぎたかったからに他なりません。
この事件の一審当時、二年前はまだ学説も任意処分説が
台頭していましたが、その後、各地の裁判所で強制処分説
が示され、名古屋高裁は昨年、とうとう立法必要論まで判決
文の中で示唆したのです。
一方警察は、昨年、千葉で(おそらく初めて)検証許可状を取った
上でGPS利用捜査を実施し、その実施後に相手方に告知する
という手法を試していました。これも、立法が必要だということ
になる前に、自分たちでルールを作ってそれできちんと濫用
などしないように捜査を進められます、という実績作りだった
と見られます。
今日の検察の弁論も、こうした警察の手法を踏まえ、控訴審
や他事件での検察側主張と大いに矛盾する「検証許可状
で強制捜査として実施できます」というアピールに終始して
おり、その異様さが際立っていました。
ある意味では、GPS利用捜査が任意か強制かについては、もはや
「勝負あった」という感がしますね。 争点は、強制であり「立法が
必要か、現行の令状で対処できるか」、に移っていると言えるで
しょう。
なお、
他の先進国では、既に新たな法手続きを必要としているところが
多いと言えるでしょう。
[参考]
季刊刑事弁護89号 [特集2]GPS装置による動静監視
http://www.genjin.jp/book/b279392.html
* ドイツについて龍谷大学の斎藤さんが寄稿されています
季刊刑事弁護85号 [特集2]GPS捜査の問題点と刑事弁護の課題
http://www.genjin.jp/book/b276541.html
*アメリカについて私が寄稿しています
世界に目を向けて、監視型捜査に対する包括的な立法を促す
判断を望みたいものです。
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いよいよ明日、最高裁大法廷でGPS利用捜査に関する大阪事件の上告審口頭弁論です!
マスコミ各社は準備に余念がないと思いますが、記者さんたちに最後に今一度、この点が全然記事に出ていないので指摘しておきたいと思います。
昨日の毎日新聞が、警察がGPSをレンタルする際に、業者側では約款違反(プライバシー侵害)を認識していた、と報道しています。
無断使用は「約款違反」 業者、特例と認識
無断使用は「約款違反」 業者、特例と認識
無断使用は「約款違反」 業者、特例と認識
GPS捜査 無断使用は「約款違反」 業者、特例と認識すなわち、警察もレンタル会社との「約款」条項に違反してプライバシー侵害をしているわけですが、検察はこの点法廷では「公道上だからプライバシー侵害の程度は低い」「目視による追尾の補助手段」「目視と同視できる」と主張し、違法性の程度は低いとしています。
ところが、警察は、元カノに承諾なくGPS発信装置をつけて監視したり、配偶者の車に承諾なく装置を取り付けていたケースについて、ストーカー規正法違反や不正指令電磁的記録供用罪といった罪名で立件しているのですね(GPS利用捜査の規制はどうあるべきか
WebRonza 2016/08/04)。
つまり、一方で犯罪行為として市民の使用を規制しながら、他方で適法だとして捜査に利用するという背信的な態度を取っています。
もしもGPSを用いて犯罪捜査することが上記のような理屈で正当化できるのであれば、私人が同種行為を行っても立件できないはずでしょう。 この矛盾をきちんと押さえた報道がない現状です。
明日の弁論で検察側がどのような理屈を立ててくるのか注意して見守り、未だに同じような論法であれば厳しくその矛盾を追及して頂きたいと思います。
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